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■…老舗クリーニング店発・業界秘話「名物社長の名言」…■
喜久屋の社内報『みんな仲間』。
創刊は昭和57年3月、その役目を終えたのが平成6年5月。
109号に渡り、喜久屋イズムを高らかに宣言し続けた。
その中で、時折登場する憲治の記事。
研修で一言、繁忙期が終わったねぎらいとお礼の言葉、さまざまな名言が刻まれた。
曰く……。
「お客さんの満足感が、品質においてもサービスにおいても他の店より上だったら、お客さんが来たくなるのではないでしょうか。そして、その満足感が売上につながるのです」
ともすれば、詰め掛けるお客様に対し、忙しさを言い訳にぞんざいな対応をしてしまいがち。
それが「繁忙期」といわれる衣替えシーズンなら、なおさらのこと。
だからこそあえて、憲治は『みんな仲間』で訴え続けた。
お客様を大事に。いつも感謝の気持で。
夫婦二人に職人二人。
そんな小さな店を、200店近いチェーンを持つまでに成長させた憲治だからこそ、みなの胸にそのメッセージはダイレクトに届いた。
しかし憲治の発言は、そんな大真面目なものばかりではない。
あるとき、男性社員と仕事の話で意見を戦わせている女性社員に
「そうだそうだ! 行け行け!
女性は、男性に食って掛かるくらいの元気がなくっちゃ。
やれやれ、もっとやれ!」
などと言って、女性社員の肩をぽんとたたいて通り過ぎていく。
男女とも吹き出してしまい、白熱していた議論は一時休戦。
社内全体が、笑いに包まれてしまう。
実は憲治は、みなを笑わせようと思って言ったのではない。
ほんとうに心から「女性が元気でなくちゃ、喜久屋は大きくなれない!」そう思っているからこそ、自然に口から出てきただけだった。
その思いがあるからこそ、女性社員は溜飲を下げ、男性社員は苦笑いしながら頭をかいてしまうのだ。
エピソードには事欠かない。
憲治の言葉は、それが社内報に印刷された文字であれ、社内でスタッフにかける一言であれ、つねにその場の中心で響いた。
みんな、憲治の言葉に耳を澄ました。
そこには商売のなんたるかがあり、そして競合他社よりぬきんでる知恵があった。
そのうえいつでも明るく、元気になれたからだ。
「社長が来てくださると、現場が明るくなります」
そういって、他社なら煙たがられる突然の工場訪問が喜ばれたりもする、名物社長となった憲治だった。 |
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